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Publication date: 29 Aug 2023

国内エッジインフラ市場予測 2023年上半期版を発表

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Japan, 2023年8月29日 - IT専門調査会社 IDC Japan 株式会社(所在地:東京都千代田区九段北1‐13‐5、代表取締役社長:村橋俊介、Tel代表:03-6897-3812)は、国内エッジインフラ市場予測2023年上半期版を発表しました。これによると、2023年の国内エッジインフラ市場の支出額は、前年比12.1%増の1兆4,135億円であると推計しています。また、2022年~2027年の5年間における年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は13.3%で、2027年の同支出額は、2兆3,549億円になるとIDCは予測しています。

IDCでは、Worldwideおよび国内におけるエッジコンピューティングに資するITインフラ(エッジインフラ)市場の市場規模(IT支出額ベース)および、その市場予測データを、半年ごとに「IDC's Worldwide Edge Spending Guide」として提供しています。

エッジコンピューティングとは、「エッジ領域」におけるコンピュータ処理を総称しています。IDCでは、「エッジ領域」を、「コア領域(企業のデータセンターやパブリッククラウドなど、企業や組織におけるコンピュータ処理の中心的位置)」と、「エンドポイント(センサーやリモートデバイスなど、データ収集を行う場所)」間の、広大なスペースであると定義しています。同Spending Guideでは、ユーザー(ITバイヤー)が、エッジコンピューティングを実施する際に必要となるITインフラ関連支出を、「Hardware」「Software」「Service」の各Technology Groupに分類し、その市場規模(支出額)を算出しています(注)。なお、本プレスリリースは、2023年8月にリリースされたIDCのデータ製品「IDC's Edge Spending Guide 2023V1, August, 2023」に基づいています。

2023年の国内エッジインフラ市場を、Technology Group別に見ると、支出額が最も大きいのはハードウェア市場であり、その支出額は前年比10.4%増の6,488億円、2027年の同支出額は、1兆277億円に拡大すると予測しています。2022年~2027年のCAGRは11.7%を予測しており、予測期間を通じてエッジインフラ市場全体の5割弱を占めます。CAGRで見て、高い成長が期待できる市場は、サービス市場であり、その支出額は、前年比16.1%増の5,976億円、CAGRは17.0%と予測しており、2027年の同支出額は、1兆1,281億円になると予測しています。

IDCでは、今後、エッジインフラにおいて、AI(Artificial Intelligence:人工知能)技術を利用した高度なデータ分析処理に対するニーズが高まるとみています。また、データ分析処理に使用されるデータとして、動画や静止画などの非構造化データが増加し、データの種類も豊富になってくることから、エッジコンピューティングのニーズが多様化し、それにともない、エッジインフラ市場は高成長すると予測しています。

また、IDCでは、エッジインフラ市場を、「AI」「AR/VR(Augmented Reality/Virtual Reality:拡張現実/仮想現実)」「Drones」「IoT(Internet of Things)」「Robotics」および「Service Provider」の技術Domain(ドメイン)に分類し、市場予測を行っています。2023年の国内エッジインフラ市場を、ドメイン別に見ると、支出額が最も大きいのはIoTドメインであり、その支出額は前年比13.7%増の6,362億円、2027年の同支出額は、1兆716億円になる予測しています。2022年~2027年のCAGRは、13.9%を予測しており、予測期間を通じてエッジインフラ市場全体の5割弱を占め、CAGRで見ても、Service ProviderやDronesの技術ドメイン次いで高い成長が期待できる市場となっています。なお、最も高い成長が期待できるService ProviderドメインのCAGRは、24.1%と予測しており、2027年の同支出額は、4,041億円になると予測しています。

IDCが2022年に実施したユーザー調査では、企業や組織に属するビジネスパーソンや公務員など、調査対象者の8割強が、「エッジコンピューティング」という言葉を、「聞いたことがない」「言葉は知っているが意味が分からない」とする回答結果が得られました。エッジコンピューティングは、企業や組織の現場におけるコンピュータ処理ですが、現場で働く当事者の間で「エッジコンピューティング」の認知度が低いということは、その分、現場には多くのニーズが潜んでいるとIDCではみています。

IDC Japan株式会社 Enterprise Infrastructure リサーチマネージャーの下河邊 雅行 は「国内市場におけるエッジコンピューティングの認知度はかなり低い。エッジコンピューティングは、身の回りの課題をITで解決する手段として多くのユースケースがあるにもかかわらず、認知度が低いということは、裏返すと、その分、潜在的成長のポテンシャルを秘めているということになる。ITベンダーは、多くの顧客に潜んでいる、エッジコンピューティングニーズを顕在化させるためにも、クラウドのみならずエッジインフラビジネスにも注力し、クラウド-エッジ一体となったユースケースの提案を行い、最適なコンピューティング環境を提供していくことが重要である」と、説明しています。

今回の発表はIDCが発行した『IDC's Edge Spending Guide 2023V1, August, 2023』にその詳細データが掲載されています。本データ製品では、Worldwideおよび国内におけるエッジインフラ市場の支出額予測を行っており「Hardware」「Software」「Service」の全17項目のTechnology別予測データを準備しています。また、先述した技術ドメイン別に加え、国内エッジインフラ市場を、産業セクター別(流通/サービス、金融、インフラ、製造/資源、公共)、そのサブセグメントのインダストリー別、さらにはユースケース別に分類し、成長分野を確認するための市場予測を行っています。詳しくは、Worldwide Edge Spending Guide 製品概要 をご参照ください。

注:エッジコンピューティングの実施によって得られた、ユーザー(ITバイヤー)の売上額は、推計の対象にしていません。また、コア領域におけるITインフラ、およびエンドポイントに対する支出額も対象外としています。

(本製品の詳細についてはIDC Japan へお問い合わせください)



<参考資料>

国内エッジインフラ市場 支出額予測、2022年~2027年





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